
最近、美味しそうなスパイスカレーのお店が街に溢れていますね。
普段はルーを使ってカレーを作っているけれど、スパイスを調合したスパイスカレーに挑戦したい!と思っている方も多いようです。
スパイスカレーを作るのに、どれだけたくさんのスパイスが必要かと思いきや、はじめはたった5種類のスパイスで本格的な味わいになるようです。
どんなスパイスを用意したらよいのか、そして、スパイスカレーとそれぞれのスパイスの魅力をまとめてみました。
スパイスカレーとカレールーの違い
長らく日本人がイメージしてきたカレーは、「ハウス」さんや「エスビー」さんといった食品会社のルーを使用したカレーかと思います。日本の食品会社の開発力は素晴らしく、ルーのクオリティはどんどん上がっています。スパイスを別添にして、最後にかけるとさらに本格的になる商品も。こんなに簡単に美味しいカレーが作れてしまうなんて、本当に主婦の強い味方です!
そんなカレールーとスパイスカレーの違いはどんなところでしょうか。参考までにハウスさんのジャワカレーの原材料を見ると、以下のように書かれています。
原材料:食用油脂(牛脂豚脂混合油、パーム油)、小麦粉、食塩、でんぷん、カレーパウダー、砂糖、脱脂大豆、ローストオニオンパウダー、ソテーカレーペースト、ガーリックパウダー、玉ねぎ加工品、ぶどう糖、香辛料、チーズ加工品、ごまペースト、玉ねぎエキス、粉乳小麦粉ルウ、オニオンパウダー、チキンエキス、酵母エキス、小麦発酵調味料、ポークエキス、ローストガーリックパウダー、ガーリックエキス、麦芽糖、チーズ、ココナッツミルクパウダー、調味料(アミノ酸等)、カラメル色素、乳化剤、酸味料、甘味料(スクラロース)、香料、香辛料抽出物
油脂や小麦粉が冒頭に挙げられています。それらの材料を利用しながら、とろみが具材を包み込みコクのある味わいを出しているのがカレールーの特徴と言えるでしょう。
小麦粉を使ってとろみを出すカレーは「欧風カレー」とも言われます。かつて日本の海軍がバターで小麦粉やカレー粉を炒めて作ったのが、このタイプのカレーの発祥と言われます。その味わいがバージョンアップされて、今のカレールーの味わいに繋がっているようです。
一方、インドやスリランカなどで、伝統的に作られているスパイスカレーはどうでしょうか。地方によって作り方は異なりますが、大変ざっくり書くと以下のような手順で作ることが多いです。
- 油を温め、スタータースパイスを入れる
- 玉ねぎを炒める
- パウダースパイスやトマトを入れて、カレーペーストを作る
- メインとなる具材を入れて炒める
- 水やココナッツミルクを入れて煮込む
小麦粉を入れる手順がありません。
スパイスカレーはスパイスのペーストを作り、そこに具材を炒め合わせていくような作り方をします。レシピによっては豆の粉などを入れてとろみを出す場合もありますが、とろみはあまり出ません。素材が直接スパイスをまとったサラリとしたカレーと言えるかもしれません。
昨今のスパイスカレーブームで「小麦粉を使わないカレー」とPRされるのはこういった違いがあるからなのですね。
用意したい5種類のスパイス
さて、はじめてスパイスカレーを作るとしたら、どのスパイスを用意したらよいでしょう。
お店に行くと、「15種類のスパイスを配合」などと書かれていることがあるので、そんなに多くのスパイスが必要なの?と考えがちですが、はじめてのスパイスは以下に挙げる5種類で充分です。
- ターメリック
- レッドペッパー
- クミン
- コリアンダー
- ガラムマサラ
えー?!これだけでいいの?と思われるかもしれません。
この5種類が味の基本となります。インド料理に魅せられ、1992年からインド料理を日本に広めている第一人者、香取薫先生は著書の中で、スパイスは「足していくより引いていく方が難しい」とおっしゃっています。
まずは少ないスパイスから始めて、少しずつ特徴の違うスパイスを足していくことで、スパイスを自在に使うコツがわかってきます。はじめから欲張らず、5種類から始めてみましょう!
それぞれのスパイスの役割
スパイスは、植物の種子や葉や木の皮などをそのまま、もしくは粉末にして使用します。西洋で言うハーブですので、植物の薬効を体に取り入れることができます。スパイスカレーは薬膳のようなものですね!
先ほど挙げたスパイスの効能を見てみましょう。
ターメリック
日本ではウコンの名前でも知られていますね。鮮やかな黄金色で、カレーに黄色味をつけるのはこのスパイスです。スパイスとスパイスをつなげるような力があり、ターメリックを入れることで味がまとまります。
抗菌、防腐効果があり、暑いインドでの食事では特に必要性が高かったのかもしれません。
伝統医療にも用いられてきたターメリック。ターメリックに含間れる「クルクミン」という成分には、肝臓の機能回復、健胃作用、抗酸化作用などがあるとされ、研究が進められています。
レッドペッパー
赤唐辛子です。乾燥したものを身のまま使ったり、パウダーにしたものを使います。
カレーに辛味や香りを与える働きがあり、後を引くような刺激を料理に足してくれます。大航海時代に欧州に渡って以来、多くの人を魅了してきたスパイスですね!
辛味成分である「カプサイシン」は身体を温める働きがありますので、適量を使用することで代謝をアップさせてくれますが、摂りすぎは注意です。
クミン
カレー作りにおいて、なくてはならないのがクミン。独特な香りと甘味があり、次に挙げるコリアンダーとの愛称は抜群です!
食欲増進効果や消化促進効果があるとされるクミンは、まさに「医食同源」として食事に取り入れたいスパイスです。
胃の働きを整える健胃作用、腸内のガスを排出する駆風作用、体の器官を元気にする強壮作用などがあります。
コリアンダー
こちらもカレー作りには欠かせないスパイスです。生の葉はパクチーや香菜などと呼ばれ、エスニック料理には欠かせない食材ですが、カレーには種子をパウダーにしたものをよく使用します。
木のようなオレンジの皮のような、爽やかな香りを持ち、カレーを煮込んだときにまろやかさととろみをつけてくれる作用があります。カレーにおいてとても使用量が多いスパイスです。
ガラムマサラ
最後はガラムマサラです。ガラムマサラはミックススパイス。主にカレーの仕上げに少量使用します。
味や香りをプラスするためや、煮込んだ間に失われたスパイスの香りや風味を足すのが目的です。
ガラムマサラに使用するスパイスには絶対的な決まりがありません。料理人は、料理に合わせてガラムマサラを調合するほどです。そのため、販売されているガラムマサラも含まれるスパイスもさまざまです。レッドペッパーが入っているものは味が変わるため注意しましょう。
まとめ
今回は、スパイスカレーの魅力と、はじめて用意するべき5種類のスパイスをご紹介しました。
最初は5種類から、慣れてきたら徐々に違うスパイスを足していくと失敗がありません。
さまざまな効能も期待されるスパイスを上手に用いて、家族の健康を守るインドのお母さんのように、スパイスカレーを楽しんでいきましょう!
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